米を食べるとバカになる!?

白米

東洋はり灸整骨院 院長の石丸昌志です。

今ではにわかに信じがたいかもしれませんが、「米を食べるとバカになる、アホになる」と本当に信じていた時代が日本にはありました。

現在、このように思っている人はほとんどいないとは思いますが、日本国内ではなぜこのように考えられていた時代があったのでしょうか? そこで今回は、東洋医学の視点から「米を食べるとバカになる」と言われた理由について、解説していきます。

【動画解説】米を食べるとバカになるのか!?

大ベストセラー『頭脳』の影響

頭脳出典:Amazon

戦後に慶應義塾大学の林髞(はやしたかし)教授が『頭脳』という本を出版して大ベストセラーになりました。この本には「米を食べるとバカになる」といった内容が書かれており、それを多くの日本国民が信じたのです。

もっと詳しく言うと、「米にはビタミンB1が不足しているため、頭が悪くなる」という内容であり、その結果、米の消費量は減って小麦の消費量が増えました。この背景には日本が戦争に負け、悔しい思いをしたため、アメリカに習えという感情が国民の中にあったからなのかもしれません。

アメリカの戦略

戦略

もう1つの理由として、戦後のアメリカの政策があります。戦後、日本では食べるものがなく、多くの国民が餓死寸前でした。このとき、日本はアメリカから余っていた小麦を与えられ、餓死する人を減らすことができたのです。餓死をするよりも、食べられるものであれば何でもいいと日本人は小麦を分けてもらいました。

1年目はアメリカから無料で小麦をもらいましたが、2年目は半額で購入しています。

さらに3年目は、正規の値段で小麦を購入しました。このように、日本国民がアメリカの小麦の消費者となるように仕向けられていったのではないかと、とある医師の本には書かれてます。

学校給食にみるアメリカの思惑

学校給食

私は1974年生まれで、父親が戦後の第一次ベビーブーム、私が第二次ベビーブームにあたります。この時代の学校給食のメニューは1ヶ月の大半である98%ぐらいはパン、牛乳、マーガリンでした。しかし、1ヶ月に1回程度はお米とカレーが出るカレーライスの日があったことを鮮明に覚えています。

本来であれば米やお茶、梅干しなどといった日本人の食文化が、牛乳やパン、マーガリン中心に変化していったのです。現在、このマーガリンはトランス脂肪酸の摂取量の観点から、かなり問題だといわれています。こういったものを小学校の6年間、ずっと食べていたのかと思うと私自身、少しゾッとします。今では時代の流れから、このようなメニューになっていたのだろうと理解はしていますが……。

また、幼少期に食べたものは一生食べたくなるという側面があります。学校給食で6年間しっかりとパンを食べさせられると、その後もパンを食べたくなる傾向にあるため、日本人は大人になってからもアメリカの小麦を消費し続けるでしょう。この一連の流れを予測したアメリカの政策が、日本の米離れの原因のひとつであると、その医師の本には書かれています。

マクガバン報告

書籍出典:Amazon

そこから時代は流れ、1970年代にアメリカのマクガバン上院議員からある報告書が出されました。当時、アメリカでは生活習慣病やガン、糖尿病、高血圧などを患う人が急増していました。そこでマクガバン上院議員はさまざまな調査を行い、病気の原因は食にあると発表したのです。これがマクガバン報告になります。

このマクガバン報告の中には、戦前の日本食がよいとも書かれていたそうです。アメリカ政府がマクガバン報告を採用した結果、1990年代からアメリカのガン患者は減少したといわれています。つまり、これまで身体によくないとされていた日本食が、このマクガバン報告で見直されたのです。

見直すべき日本食

鯖の塩焼き

「米を食べるとバカになる」といわれていた時代もありましたが、現在では日本食が見直され、世界でも注目されています。日本食はやはり身体によく、米も身体によいものと考えられるようになりました。特に日本人は、縄文時代から食べたものを調べてみても、戦前まではそれほど変わっていません。

しかし戦後になり、パンや牛乳、スパゲッティー、ハンバーガー、ステーキなどカタカナの食べ物が非常に増えました。少なからずこの影響も受け、日本国内ではガンの発症率が減少していません。先進国の中で減少していない国はなんと日本だけです。

マクガバン報告の中の「食を改めなければガンは改善されない」という内容について、本来であれば国レベルでもう1度考えていただきたいと思います。これが私たち東洋医学を行う人間の願いです。

賢く取捨選択を

マクガバン報告の後、アメリカの医学会や肉の販売業者などが猛反発をしたために、次の選挙で実はマクガバンは落選します。このように、人の命や健康に対しても、常に利権やお金が絡んでくるのは悲しいものです。

そのため、消費者である皆さんが賢くなり、正しい情報の取捨選択をすることが必要になってきます。そして、これ以外に防衛する手段はないと私は思うのです。本日は「米を食べるとバカになるのか」についてお話ししました。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

石丸昌志