
東洋はり灸整骨院 院長の石丸です。
今回は「自律神経の乱れ」と題して、質問にお答えする形でご説明します。まずはこちらの動画からご覧ください。
【動画解説】自律神経の乱れを整える生活習慣
自律神経の乱れとは?

—自律神経の乱れとは、具体的にはどのような状態ですか?
実は、東洋医学には「自律神経」という言葉はありません。これは西洋医学の考え方で、自分の意志ではコントロールできない働きを指します。
例えば、「手を上げてください」と言われれば手は上げられますし、「目を閉じてください」と言われれば目を閉じることができます。しかし、「胃の働きを30分止めてください」と言われても、それはできません。このように、自分の意志でコントロールできない働きの多くを担っているのが自律神経です。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、交感神経はアクセル、副交感神経はブレーキに例えられます。夜に交感神経が優位になりすぎると眠れなくなり、逆に副交感神経ばかりが働いても体調を崩しやすくなります。
自律神経が春に乱れやすい理由

—春は自律神経が乱れやすいと言われますが、本当でしょうか?
東洋医学には自律神経という言葉はありませんが、現代医学的にも春は自律神経が乱れやすい時期とされています。この傾向は東洋医学でも説明が可能です。東洋医学では春は肝と関係が深く、この肝の働きが乱れやすいと考えられています。
ここでいう肝は西洋医学の肝臓とは異なりますが、自律神経のような働きを担う存在です。そのため、春になると肝が乱れ、その結果として自律神経の乱れのような症状が現れると考えられます。立春(2月4日頃)を過ぎたあたりから、不調が出やすくなるため注意が必要です。
東洋医学における肝とは

—肝というものがよくわからないのですが、肝とは何ですか?
もともと日本には東洋医学しかありませんでした。東洋医学は約1400年以上前、聖徳太子の時代から実践されてきたものです。
一方、西洋医学が日本に入ってきたのは1774年、『解体新書』が出版された頃です。長崎の出島に伝わった蘭学の『ターヘル・アナトミア』を翻訳した際に、東洋医学の肝が肝臓、腎が腎臓などと当てはめられました。そのため、東洋医学の肝と西洋医学の肝臓は似て非なるものです。
これについては東洋医学を勉強しなければ理解できないかもしれません。東洋医学の肝は、より広い働きを持つ概念であり、五臓六腑の一つとして体全体のバランスに関わっていると理解してください。
自律神経が乱れると起こる症状

—自律神経が乱れると、具体的にはどのような症状が出やすいですか?
自律神経は自分の意志でコントロールできない働きを担っているため、症状は多岐にわたります。代表的なものとしては、動悸、不眠、胃の不調、不安感などがあります。
病院で検査をしても原因がはっきりしない場合、「自律神経の乱れですね」と言われた経験がある方も多いのではないでしょうか。実際に、原因が特定しにくい不調に対して使われることも多い言葉です。
—「自律神経の乱れ」で説明されてしまうことも多いということでしょうか?
検査で異常が見つからない場合、「自律神経」「ストレス」「年齢」といった言葉で説明されることが多い傾向があります。これらはすべて、自分の意志ではコントロールできない領域の不調に対して使われる表現です。
生活習慣で整える方法

—自律神経を乱さないためにはどうすれば良いですか?
完全に乱れないようにするのは難しいですが、生活リズムを整えることはとても重要です。人は本来、日の出とともに活動し、日没とともに休むリズムで生きています。このリズムに逆らう生活を続けると、自律神経は乱れやすくなります。
夜勤の方や夜更かしが多い方、朝遅くまで寝ている方はとくに注意が必要です。日の出と日没に合わせた生活を意識することが、改善への第一歩になります。それでも不調が続く場合は、鍼灸によるサポートも一つの方法です。
東洋医学でのアプローチ法

—具体的にはどのように整えていくのですか?
東洋医学では自律神経という言葉は使いませんが、多くの場合、肝の働きが関係しています。そのため、症状だけを見るのではなく、体全体の状態を把握することが重要です。例えば「眠れない」というお悩みでも、他にも鼻の不調や冷え、生理痛などがないかを確認し、全体を見て整えていきます。
一方で、病院では眠れない場合は心療内科、生理痛は婦人科などと診療科が分かれます。私は、このような見方は「木を見て森を見ていない」状態だと感じています。自律神経を整えるためには、「木を見て森を見ず」ではなく、「森を見て木を治す」という考え方が重要です。
食生活と自律神経の関係

—ファーストフードや揚げ物などが好きなのですが、食生活も自律神経の乱れにつながりますか?
西洋医学的な見解はさまざまですが、東洋医学では人の体はすべて食べたもので作られると考えます。約1年で体の細胞はほぼ入れ替わるため、日々の食事が体質に大きく影響します。
不自然な食べ物が多くなると、不調が出やすくなるのは自然なことです。東洋医学では、自然と人間は一体と考えるため、不自然な生活や食事は自律神経の乱れにもつながると捉えます。
春を乗り越えるために大切なこと

—自律神経が乱れている方にメッセージをお願いします。
春は環境の変化が多く、体に大きな負担がかかる時期です。この負担が自律神経の乱れにつながることも少なくありません。
東洋医学は、負荷に耐えられる体づくりを目指すものです。いわば筋トレのように、外からの変化に強い体をつくっていきます。また、症状が出ている際には、「森を見て木を治す」観点から全身を整えることも可能です。
日常生活では、日の出と日没のリズムを意識すること、寝る前のスマホを控えることなどが大切です。寝る前は読書や深呼吸をし、起床時には朝日を浴びることがオススメです。
人間の体は自然の一部です。自然に逆らわない生活を心がけることが、不調の予防と改善につながります。
—生活リズムが重要だということがわかったので、早寝早起きの習慣を心がけたいと思います。


