鍼灸のAI化・ロボット化は可能か?

ロボット

今後、AI(人工知能)の進化が進み、人間の仕事がなくなると予想されています。鍼灸業界でも、AI化やロボット化が進むと鍼灸師の仕事がなくなるかもしれません。

今回は、このAI化・ロボット化に関して、私の個人的な考えをお伝えしようと思います。鍼灸施術を大きく分けると「東洋医学的な鍼灸」「スポーツ的な鍼灸」になるので、この二つに分けてお話します。

動画での解説もありますので、ぜひご覧ください。

東洋医学的な鍼灸のカウンセリング

東洋医学と西洋医学

このカウンセリングは流派で差が出てきます。おおよそ東洋医学というのは「望・聞・問・切」という四診法(ししんほう)を用いて患者の病名をつけていきます。望診、聞診、問診、切診といいますので、一つずつ解説します。

望診(ぼうしん)

患者さんをパッと見たときの目の力強さやその人から感じるもの、あとはオーラや気などで、迫力がある、気が弱々しいなどを見ることです。

この望診はAIでは難しいでしょう。AIは、感情や目に見えないものを判断することはできませんので。人間が長年培ってきた、微妙な空気を読む、独特な雰囲気を察するなど、そういったことはなかなかできないと思います。

聞診(ぶんしん)

においや声の質をみることです。

これもAIでは難しいでしょう。においが強烈なものであればAIでも可能かもしれませんが、微かなにおいは難しいと思います。

問診(もんしん)

患者さんに実際にお話を聞いていくことです。

これはAIでも可能でしょう。この人はどのあたりが東洋医学的に弱っているかといった分析は、AIのほうが向いているかもしれません。

切診(せっしん)

実際に患者さんの身体を触って脈やお腹、舌を見ていくことです。

実はこの切診、とても難しいです。主観的要素が強く、鍼灸の達人が集まってもカウンセリングがばらばらになるほどです。もしかしたらしっかりインプットすれば、AIのほうが人間よりも正確なカウンセリングができるかもしれませんね。

スポーツ鍼灸のカウンセリング

東洋医学の解説

スポーツ鍼灸は構造医学です。筋肉や神経、靭帯など、そういった部分の状態を見る画像診断が主になります。ですので、このあたりはAIが活躍できるでしょう。

人間が行うとどうしてもばらつきが出てくるため、色々な情報をAIに学習させてカウンセリングさせたほうが間違いないかもしれません。

東洋医学のハリ治療

東洋医学的な鍼灸施術が流派によって違うため、一概には言えないと思います。私たちが扱っている経絡治療(けいらくちりょう)は、気を集めて流すスタイルです。

他には邪の処理(外から入ってきた悪いものを外に出す)といった施術法を必要なところに行うのです。

「気を集めて流すこと」「邪の処理」はAIにはできないでしょう。必要なところに流すのは単純作業なので、AIにもできるかもしれません。

スポーツ的なハリ治療

東洋医学

これは目的のところに物理的に鍼を刺すことだと思います。元々物理的なものを扱っているので、これはAIでもできると思っています。

おわりに

問診、切診はAIでやったほうが間違いないかもしれません。そのため人間しか感じられないところをやればいいでしょう。東洋医学的な鍼灸となれば最終的なところは人間が主にならないといけませんが、スポーツ鍼だとAIのほうが上になる可能性があると思います。

ということで、今回は鍼灸施術のAI化・ロボット化について私の意見を述べてみました。未来の話ですのでどうなるか分からない面もありますが、やはり最後は職人技が必要になってくると思います。

石丸昌志