
東洋はり灸整骨院の石丸です。
本日は、『だから医者は薬を飲まない』(和田秀樹著、SB新書)という書籍の内容をご紹介します。
だから医者は薬を飲まない – 動画解説
医療費の定額制
皆さんは、1990年代に導入された医療費の定額制についてご存知でしょうか。年々増大する医療費に国庫の負担が大きくなり、慢性疾患を患って長期入院をしている方を受け入れている病院を対象にしたものです。
薬や検査が一定になることで、病院に行って、いくら薬を飲んだり検査をしたりしても、一定の金額しか払わなくていいという制度です。この制度が導入されると、病院側は一定以上の薬を処方したり検査しても、費用を受け取ることができません。
すると、
「それまでいろいろな検査をしたり、たくさんのお薬を処方したりしていた病院が治療と投薬の量を最小限に抑えるようになり、薬の使用量は70パーセントも減少した」
当時の有名な病院の院長はそう証言しているといいます。
そう聞くと、「それだけ検査を抑えて、薬の量が減るなら、病状も悪化するのでは」と心配される向きもあるでしょう。
ところが、皮肉なことに、お薬を抑えたことで元気になった患者さまが増加したそうです。むしろ、長期間にわたって服薬することで、元気がなくなったり、顔色が悪くなったりすることもあるとか。
薬の成分は化学物質ですから、身体への負担も大きいということなのでしょうね。
医者は薬を好まない?
和田秀樹先生ご自身も、この本の中で、薬を飲むのが好きだという医師には一度も会ったことがないと書いておられます。
身体にとって必要な薬ももちろんたくさんあるはずですが、自分が薬を飲んでいる状態を好ましいと考えている医師に会ったことがないというのは、なぜでしょうか。
その理由は以下の3つになります。
1.薬は体によいものではない
まずは、薬が化学物質で、身体にとって必ずしもよいものではないという点が理由のようです。さらに、50代以上の医師の場合は特に、過去にあったさまざまな薬害事件について知っているため、薬を避ける傾向が強いとのこと。
2.標準治療
また医師には標準治療という基準があり、「その基準に則った治療を行っていれば、万が一のことがあっても訴えられることがない」という現状が、その傾向に拍車をかけています。
標準治療を行うことで、自身の身が安全になる――保身のためにも薬を出さざるをえないが、自分としてはあまりその薬を飲みたくないというのが本音なのでしょう。
実際に、患者さまが元気な状態であっても、血液検査などのデータが基準値から外れていれば、薬を処方されることがあるそうです。
そうして出された薬を服用した方がその副作用で体調を悪くしたとしても、数値が正常に戻ったことに満足するのが今の日本の医者だ――和田秀樹先生はそう書いておられます。
3.基準値が学会ごとに異なる
また、もうひとつ問題なのが、この基準となる値そのものが、それぞれの学会で異なるということ。
統一もされていない基準値を基に薬を処方し、それで体調が悪くなったとしても、基準値内に収まればよいとするのが、現代の医療界なのです。
例えば、ここに血糖値が少しだけ基準を超えている方がいるとしましょう。この患者さんを見ることになった糖尿内科の医師は、患者さんのことを考えれば、生活習慣を改善しながら血糖値を下げていくという方針をとることができます。
しかし、この患者さんが仮に高血圧の症状を持っていれば、糖尿内科の医師からすれば、専門外――自分の専門とする範囲以外では、ガイドブックを用いて、標準治療を行う。
つまり、血圧の薬を処方することになるのです。
患者さんは、副作用で亡くなる可能性もあります。実際、薬の副作用が原因で、毎年何人もの方が亡くなっています。
しかし、ガイドラインにある標準治療を行いさえすれば、亡くなっても訴えられることがない。だからこそ、自信がない分野では、何も考えずに薬を処方するということです。
患者側も言いなりにならないこと
病院で処方された薬を飲む場合には、患者さま自身も上記のようなデメリットをしっかり把握し、薬効(メリット)と比較したうえで、飲むか飲まないかの選択をしなければなりません。
西洋医学では、生活習慣病の治療であっても、薬の処方がメインになります。
しかし、日本国内で1400年の間伝わってきた東洋医学の理念に則れば、服薬せずとも健康を取り戻すことが可能です。
慢性病は東洋医学へ
そもそも、慢性病に優位なのは西洋医学より東洋医学です。慢性病や生活習慣病、日々の過ごし方の指導も非常に得意にしています。慢性病や複数の症状がある場合は、東洋医学による施術をお勧めしています。
今現在、東洋医学がさほど重要視されていないのが、日本の実状です。しかし、日本国内で1400年の歴史を持つ、日本人のDNAにしみ込んだ治療法が選択できるということを、まず患者さま自身に知っていただきたいと思います。
2001年以前の医学部では、東洋医学は必須科目ではありませんでした。そのため、東洋医学という選択肢を全く知らない医師も多数います。
そういったことも、患者さま自身がよく知ったうえで、すべてを西洋医学任せにしないことが重要です。
◇参考文献
和田秀樹『だから医者は薬を飲まない』SB新書